住宅ストック問題を追い風として、着実にニーズを伸ばし続けるリフォーム業界。
需要の拡大と比例して、リフォーム会社が次々と増えていますが、社員の定着率はどれくらいなのでしょうか?

この記事ではリフォーム会社を2社経験し、現役社員でもある筆者が、リフォーム営業の離職率や、離職する理由についてお話ししますね
リフォーム営業の離職率は10〜15%
結論からいうと、リフォーム営業の離職率は10〜15%ほどです。
年ごとに違いがあるため、正確な数字を出すのは難しいですが、直近の離職率はこのあたりです。
最近では「働き方改革」の影響もあり、年々、離職率が下がっているように感じています。
( 翌年1月1日にやめた社員数 ÷ 1月1日に在籍している社員数 ) × 100 =離職率( % )
10〜15%という数字だけだと、いまいちピンとこないと思うので、もう少し補足していきますね。
日本の平均離職率は10.7%
2021年の厚生労働省の調査では、日本の平均離職率(正社員のみ)は10.7%です。
1 入職と離職の推移
厚生労働省HP
(1)令和2年の入職と離職
一般労働者の入職率と離職率はともに 10.7%

リフォーム営業の離職率って、かなり高いイメージがあったけど、日本の平均値と大差はないみたいです
会社によって離職率には差がある
日本の平均離職率とリフォーム営業の離職率を比べてみると、平均よりは高いですが、極端な差はなさそうです。
ただし、会社によっては離職率が40〜50%を超えるところもあるようです。
もし、リフォーム会社を受けるという場合は、聞きづらくても、離職率がどのくらいか聞いておきましょう。

仕事は無茶な飛び込み営業ばかり…もう続けられないわ……

聞いた話では、売ってこれなければクビをちらつかせれて、2人に1人は耐えられずにやめるような会社もあるのだとか…
離職率を聞きづらい場合は、社員の勤続年数をきいておくとある程度の指標になりますよ
リフォーム業界の離職率が高いと言われる理由
リフォーム営業の離職率が10〜15%で、厚生労働省の調査から算出された日本の平均離職率、 10.7%よりは高い水準である
ここからは、リフォーム会社で働く筆者が、リフォーム営業の離職率が高い理由を4つ解説します。
4つの理由を紹介したあとに、実際にリフォーム営業をやめた社員に聞いた、”リアルな理由”もご紹介するので、続けて読みすすめてくださいね。
理由⒈ 残業が多い
まず、一つ目の大きな理由は、残業が多いこと。
リフォーム営業の求人を探してみるとわかりますが、だいたい「みなし残業代」がついています。
固定残業代制度ともいいます。
みなし残業代とは、給料のなかに、あらかじめ”◯時間分の残業代”が含まれて支払われる、という制度。
みなし残業代は、残業をしてもしなくても支払われます。
もともと給料に残業代が含まれていることからも、残業が多いんだと想像がつきますよね。
往々にして、”みなされて”いる残業時間よりも短くすむことはありません…。

でも、みなし残業時間を超えた分の残業代は支払われるんでしょう?

法律上の決まりがあるため、「超過した分の残業代を支払う」としている求人をよく見かけますが、実際に払っている会社は少ないようですね…
理由⒉ 不明確、かつ少ない休日
リフォーム営業の場合、水曜日、木曜日、日曜日のいづれかの曜日が休みになることが多いです。
ですが実際には、やることに追われて休みがずれたり、休めなかったりすることもしばしば…
平日: リフォーム工事の管理業務、週末の打ち合わせに向けて資料作り
土日祝日: お客様との打ち合わせ、商談
業務量が多いので、要領よく仕事をすすめないと、休日に仕事をすることになりかねません。
理由⒊ 休日でも関係なく電話がくる
平日休みの場合は特に、お客様や職人からの連絡が多くなります。
友人とのんびり過ごしている休日に、仕事の電話が鳴り響いたら、気持ちがげんなりしちゃいますよね。

仕事の電話に出ていたら、全然気が休まらない。
休みの日まで電話してこないでほしい…

休日はしっかりと休息をとるためにも、電話がかかってきそうなひとにはあらかじめ休みであることを伝えるようにしましょう
また、上司に相談して、休みの日はスマホを会社に置くことにできないか相談してみるといいかも
理由⒋ 給料が不安定
リフォーム営業の給料では、インセンティブの比重が大きいことがほとんどです。
ですので、”勤続年数が長いから安定した給料がもらえる”ようなことは期待できません。
個人の売り上げが下がれば、自分の給料が減るので、収入の安定を求める人には向かないかもしれませんね。
《リフォーム営業のインセンティブについては↓の記事を参考にしてください》
リフォーム営業をやめるリアルな理由
- 残業が多い
- 不明確、かつ少ない休日
- 休日でも関係なく電話がくる
- 給料が不安定
ここまでリフォーム営業の離職率が高い4つの理由を解説しました。
最後に、これら4つの理由の根拠をご紹介して終わりにしたいと思います。
リフォーム営業として一緒に働き、やめていった人から最後に聞いた、リアルな理由をお話しします。
リアルな理由⒈ 残業が多くて、休みも少ないから嫌になりました…

なんでやめることにしたの?

休みも少ないし、残業で家に着くのは遅いし、もうやっていけません!

慣れていけばもう少し残業も少なくなるし、休みも自分の都合にあわせてとれるようになるからもう少し頑張れない?

早く帰ろうとすると上司にも嫌な顔されるし、友達とも遊べないしやっぱりもう無理です…っ!
リアルな理由の1つ目は後輩の話です。
この理由でやめるのは、どちらかといえば若い社員が多いです。
僕も入社したてのときは、残業の多さや、休みの少なさを同僚とグチり合っていました。
だって、休みの日は遊びたい…。
リアルな理由⒉ 休みの日も電話がかかってきて気が休まらなかった…

もう次の就職決まってるんですか?

決まってるよ、前にやってた仕事関係だけどね
リフォーム営業は自分に向いてなかったかな

やめる理由って聞いてもいいですか?

仕事自体が大変だったのもあるけど、一番の理由は”休みの日の電話”かな
休んでるって感じが全然しなくてさ…
リアルな理由の2つ目は、ぼくの先輩の話です。
休みの日に電話対応してると、本当に休んだ気がしないんですよね…。
この先輩が辞めたあと、みんなで話し合って、”休みの日に社用携帯を置いていっていい制度”ができました。
この制度が全ての会社で取り入れられたら離職率がすこしは下がるかもしれませんね。
リアルな理由⒊ 結婚するから安定しない収入だと不安…

会社、辞めちゃうんですか?

ちょっと理由があってね…、実は結婚することになったんだ

えっ!おめでとうございます!!

ありがとうっ!
それでね、結婚するって決めた時に、給料の上下が激しいリフォーム営業はやめようかなってね…
リフォーム営業だと、常に売り上げのことで頭がいっぱいになりそうだし…
これからは、家庭のことも考えなきゃだしね
リアルな理由3つ目、こちらもぼくの先輩のお話でした。
リフォーム営業の給料は売り上げに左右されますし、家庭ができて、家族への責任が大きくなると、安定しない給料では不安も大きくなるのでしょうね…。
【結論】リフォーム営業の離職率は平均よりも高い
リフォーム営業の離職率が10〜15%で、厚生労働省の調査から算出された日本の平均離職率、 10.7%よりは高い水準である
【リフォーム営業の離職率が高い理由】
- 残業が多い
- 不明確、かつ少ない休日
- 休日でも関係なく電話がくる
- 給料が不安定
筆者の同僚で、実際にやめたひとの理由も↑の理由と重なることがほとんど
「働き方改革」で下がる離職率
ここまで、リフォーム営業の離職率は平均よりも高いとお話ししましたが、
「働き方改革」が施行されて、労働環境は大なり小なり改善されていくようになりました。
労働環境が改善された影響で”離職率も下がって”いるように感じます。
これからも「働き方改革」や「業務のIT化」を追い風に、リフォーム営業の離職率はどんどん下がっていくんじゃないかと予想しています。
なにせ、離職率が高くて一番困るのは会社ですからね。
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